強迫性障害 ⑧強迫性障害の人への「声掛け」の仕方【家族・支援者向けガイド】

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※このブログは一番下にラジオ配信をつけています。blogを読むのが面倒な方は、ラジオを聞いて頂ければ、このブログの内容を理解していただけると思います。





1:強迫性障害(OCD)の人に適切な声掛けをするために

強迫性障害(OCD)は、不安を軽減するために「強迫行為」を繰り返してしまう症状が特徴です。周囲の人がどのような声掛けをすれば、不安を和らげながらも症状を悪化させずにサポートできるのかを解説します。強迫性障害についてしりたい方はこちら↓

強迫性障害 ③概要 強迫性障害の説明 どんな障害か? | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記↗

2. 強迫性障害の人への適切な声掛けと避けるべき声掛け

強迫性障害の人は「そんなこと気にしなくていいよ」と言われると、理解されていないと感じてしまいます。まずは共感の言葉をかけることが大切です。

✅ 適切な声掛け例

  • 「すごく不安なんだね。大丈夫だよ、一緒に考えよう。」
  • 「その気持ち、ちゃんと分かるよ。つらいよね。」
  • 「不安を感じるのは自然なことだよ。」

❌ 避けるべき声掛け

  • 「そんなの気にしすぎ!」(不安を否定すると、さらにこだわりが強くなる)
  • 「考えすぎじゃない?」(本人は考えたくなくても考えてしまう)

3:具体的な強迫性障害の人への声掛け事例

🔹 3-1. 確認行動や手洗いがやめられない強迫性障害の人への声掛け

「カギを閉めたか」「手が汚れていないか」などの確認行動を繰り返してしまう場合、無理にやめさせるのではなく、少しずつ負担を減らせるようにサポートすると効果的です。

 ✅ 適切な声掛け例

  • 「カギを閉めたとき、声に出して『閉めた!』と言ってみるのはどう?」
  • 「1回だけ確認したら、写真を撮っておいて後で見返すのはどうかな?」
  • 「手を洗いたくなったら、まず深呼吸してみよう。」
  • 「今回は10回だけやってみて、その時の効果を一緒に見てみよう」

❌ 避けるべき声掛け

  • 「そんなに何度も確認しなくていいでしょ!」
    → 不安や焦りを否定する言葉は、本人の安心感を損ない、余計に確認行動を強化してしまいます。
  • 「早く手を洗い終わらないとダメだよ!」
    → 時間や効率を強調することで、プレッシャーがかかり、不安が増幅される可能性があります。
  • 「また確認してるの?自分でなんとかできないの?」
    → 批判的な言葉は自己肯定感を下げ、恥ずかしさや自己否定につながり、行動がさらにエスカレートする恐れがあります。
  • 「そんなに気にしなくても大丈夫だよ!」
    → 安易な安心を与えるだけでは、本人の不安が解消されず、確認行動の依存を助長してしまうことがあります。

📌 ポイント
強迫行動を完全に止めさせるのではなく、少しずつ減らす方向に導く
別の方法(写真・声に出す・深呼吸など)で不安を軽減できるようにする


🔹 3-2. 数字にこだわりがある人への声掛け

「偶数じゃないと気持ち悪い」「3回繰り返さないと不安」など、特定の数字にこだわる人には、少しずつ認識を変えられるようなアプローチが効果的です。

✅ 適切な声掛け例

  • 「本当にこの数字じゃないとダメかな?ちょっと試してみる?」
  • 「少しずつ違う数字に慣れてみるのはどう?」
  • 「今日は1回だけ減らしてみよう!」

❌ 避けるべき声掛け

  • 「そんなのどうでもいいじゃん!」(本人にとっては重要なことなので、否定されると不安が増す)

🔑 ポイント

  • 共感と受容:
    数字にこだわる気持ちは、安心感や自己統制感につながっているため、「その気持ちは大事なものだね」と共感を示し、否定せずに受け入れる姿勢を持ちましょう。
  • 段階的なアプローチ:
    いきなりこだわりを完全に変えさせるのではなく、「今日は1回だけ違う数字を試してみよう」など、小さな挑戦を促す方法が効果的です。
  • 具体的な代替策の提案:
    数字のこだわりを緩和するために、「なぜその数字にこだわるのか」を一緒に考えたり、別の方法で安心感を得られる工夫(例:チェックリストや記録)を提案するのも良いアプローチです。

🔹 3-3 大切な物の状態(汚れていないか・無くなっていないか)を気にする場合

大切なものに対して「汚れていないか?無くなっていないか?」と何度も確認してしまうのは、強迫性障害の一症状です。本人にとっては大切なものへの不安が現れており、決して「ケチ」や「心配性」と決めつけるのではなく、その気持ちを受け止めながら、安心感を提供することが重要です。

✅ 適切な声掛け例

  • 「大切なものを守りたい気持ちはとてもよく分かるよ。今のところ、しっかり管理されているみたいだから、一度確認できたら信じてみようか。」
  • 「その不安な気持ちは無理もないよ。もし確認が必要なら、一緒に落ち着いて一回だけ確認してみよう。」
  • 「確認したい気持ちは理解できるけど、チェックが何度も続くと疲れてしまうよね。記録をつけたり、写真を撮っておく方法も試してみない?」
  • 「大切なものへの思いは尊重するよ。まずは一度、しっかり確認して安心できる方法を一緒に考えよう。」

❌ 避けるべ声掛け

  • 「そんなに何度も確認しなくていいんじゃない?」
    (本人の不安を否定してしまい、さらに不安が募る可能性があります。)
  • 「もう何回もチェックしてるでしょ、安心しなよ!」
    (感情を軽視すると、安心感が得られず、強迫行動がエスカレートする恐れがあります。)
  • 「大切なものだから、もっとしっかり確認しないとダメだよ。」
    (プレッシャーをかけると、かえって確認行動を助長してしまいます。)

このように、大切なものに対する不安を理解しつつ、安心感を与える声掛けをすることで、強迫性障害の方が無理なく一度の確認で信頼できる環境づくりをサポートできます。焦らず、本人のペースに合わせた対応を心がけましょう。

🔑 ポイント

  • 共感と理解:
    「大切なものを気にする気持ちは、本当に大事なものだからこその自然な反応」と伝え、不安を否定せずに受け入れる姿勢を示すことが大切です。
  • 具体的な代替策:
    一度の確認で安心できるよう、記録をつける、写真を撮るなど、再確認の必要性を減らす具体的な方法を提案すると良いでしょう。
  • 段階的なアプローチ:
    いきなりチェック行動を完全にやめさせるのではなく、「まずは一度だけ確認してみよう」といった段階的なアプローチを心がけましょう。


4 強迫性障害の人を安心させる声掛け

強迫性障害の人は、過剰な不安を感じやすいため、安心感を与える言葉がけが重要です。

✅ 適切な声掛け例

  • 「大丈夫だよ、一緒に乗り越えていこう。」
  • 「少しずつでも大丈夫だからね。」
  • 「今はつらいかもしれないけど、時間が経てば落ち着くかもしれないね。」

📌 ポイント
過剰に「大丈夫!」と保証しすぎない(保証を求める強迫行動を強める)
小さな成功を認めて、自信を持たせる


5. 強迫性障害の人へのNG対応や声掛け

強迫性障害の人をサポートするつもりでも、無意識に症状を悪化させてしまうことがあります。

❌ 避けるべき対応

  • 強迫行動を手伝う:「代わりに確認してあげるね」→ これを続けると、不安が増してしまう
  • 急に行動をやめさせる:「もうやめなさい!」→ 逆にパニックを引き起こすことがある
  • 根拠のない安心を与える:「絶対大丈夫だから!」→ 確証を求める強迫行動が強くなる

6:強迫性障害児の息子への具体的な声掛けと過去の間違いについて

6-1 息子の強迫性障害の状況(4~5年前)

 僕の息子は小学5年生の後半から小学6年生くらいにかけて、「強迫性障害」が出始めたと記憶しています。そのころの息子は、特別支援学校内での友達の「他害」や「奇声」などに怯えており、そこに今のトラウマである「鬼滅の刃」の残虐シーンが重なったり、学校での別の事件(保健室で生徒が先生をナイフで脅す事件)を目の当たりにしてしまったことで、強迫性障害が発症しております。

 最初の強迫観念は「のどに魚の骨が刺さったか」でした。その後は、喉の違和感の訴えで、「つばを吐き出す」行為が顕著に現れました。また、魚の骨がのどに刺さったか?を気にすることが関係し派生して「指さし行為」の拒絶が酷くなりました。家族がたまたま指さし行為をしてしまうと、「ギャー!」と叫んでました…。後々話をきくと、「爪が飛んでくる!」と思っていたようです(苦笑)

 また、家族が「息をしている」のも気になりだし、「息をしないで!!」とパニックになったこともありました。溜息のような大きく息を漏らした時などでした。「息をしちゃうとダメ!」と夫婦で目くばせして、口を閉じていたのを思い出します(涙)

6-2 強迫性障害の息子へ間違った声掛けをしていた過去(失敗例)

  知的障害がある息子ですので、色々な形で現れる強迫行為が、本当に理解をするのが大変で、「説得」をしようと試みていたように思います。ここに出ているような「避けるべき声掛け」の殆どを簡単に言ってしまっていたように思います。それは「安心感」という言葉の意味あいが分からず、そもそもの「強迫性障害」であることも分かっていなかったために、簡単に「否定」から入ってしまっていたように思います。

 それどころか、僕は「他人のつば吐きが口の中に入らないか?」という不安の渦中にある息子に、どのくらいつばが飛ぶのかを実演して見せていたくらいでした。「〇ちゃん、つばは飛ばしてもこのくらいだから、あっちで吐いたつばは口の中には入らないよ」と話して、「大丈夫」を伝えようとしていたのです。

 基本、息子の中にある「不安」に目を向けるわけではなく、理屈・理論上で勝負をして「○〇だから大丈夫」という事ばかりを伝えていたように思います。

 ただ、結果的にそれが効果を出して、息子の強迫行為を止められたか?というとそういうわけではありませんでした。

6-3 強迫性障害の息子から学んだ対応や声掛け(実体験として)

 結果的に、僕ら夫婦は息子の苦しみや辛さに対する理解と対応を誤っていました。医師に相談した結果、強迫性障害であることが分かり、勉強を始めました。また、医師からのアドバイスや助言に素直な気持ちで耳を傾けるようになったのです。

 その結果、最も大きく変わったのは息子の表情でした。手洗いの際に過剰に行わなくなり、さらに『辛いね』と声をかけ、理由や理屈、理論にとらわれることなく、ただ息子の辛さに寄り添うようにしました。無駄な話を省き、辛さがピークに達したときには、さまざまな面で合理的配慮を考慮するようになりました。

 息子は少しずつ回復するようになりました。『回復』であって『完治』ではないものの、それでも息子は穏やかな表情を見せるようになりました。それ以前は、息子はとにかく険しい表情をしており、常に眉間にしわが寄っているような顔をしていました。

 つばを飲み込むのが嫌になった息子は、Tシャツの首まわりがいつも、つばでびっしょり濡れていました。授業中はそれを隠すためだけにマスクをしていたのですが、マスクの下からつばが流れ落ちる状況でした。目も虚ろで、覇気のない顔をしていました。しかし、それがだんだんとつばを飲み込めるようになり、少しずつ改善して、今ではだいぶ気にせずに生活できるようになりました。全く気にしていないわけではないと思いますが、それでも、日々、良い顔を見せてくれるようになりました。

 ただし、根本原因が解決されたわけではないため、『完治』に至ることはなく、再び強い強迫性障害が現れることもあります。トリガーである『暴力』への恐怖心は簡単に払拭できるものではなく、もともと「知的障害」があるという点も完治を難しくしています。

 それでも、息子の『顔色が違う』という変化によって、僕ら家族は大きな幸福感を感じます。何よりも、息子の顔が常に穏やかになったことは、僕ら家族にとって最も大切なことです。そして、そういった顔を見せてくれることで、妻の心も落ち着くようになったと僕は思います。

 合理的配慮を取り入れすぎると『甘やかし』に見えてしまい、ジレンマを感じる場面もあります。しかし、小学5年生の頃、常に不機嫌そうな顔をしていた息子を思い出すと、現在の対応が正しい方向へ向かっていると信じることが出来ます。『辛いね』と声をかけ、余計なことは言わず、ただ息子に寄り添う姿勢こそがとても大切だと感じます。もし家族に強迫性障害のある人がいるなら、改善を求めすぎず、長い目線をもって、とにかく『辛さに寄り添う』ことを忘れなければ、それ以上悪化することはないのではないかと思います。

7: 強迫性障害の人への声掛けの「総括」

強迫性障害の人に適切な声掛けをするためには、

まずは不安を受け止めるその不安について共感をする
強迫行動を無理にやめさせず、少しずつ変えていく
安心感を与えつつも、過剰に保証しすぎない

大切なのは、「無理にやめさせる」のではなく、「少しずつ不安と向き合えるようサポートする」ことです。
支える側も焦らず、根気よく向き合っていくことが、回復への第一歩になると思います。そして、誰が一番、その行為に対して「辛い」のかを忘れずに、「寄り添う」ということを大切にして、接してほしいと思います。これまでの強迫性障害について記載した関連するblogのリンク先を下↓に貼っておきます。

①強迫性障害 「強迫性障害について学習する理由」 | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

強迫性障害 ②「医師から言われた言葉」 | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

強迫性障害の原因とリスク要因 | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

強迫性障害 ⑤強迫性障害の診断方法 | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

⑥強迫性障害の治療法(薬物療法)息子が使っている薬について | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

強迫性障害の治療法:心理療法とは? | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記

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8:stand.fm(ラジオ配信)「強迫性障害の人への声掛けの仕方」解説

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