

強迫性障害(OCD)の治療法:薬物療法について
強迫性障害(OCD)の治療にはいくつかの方法がありますが、その中でも薬物療法は、症状の緩和や生活の質を向上させるために重要な役割を果たします。ここでは、薬物療法について詳しく解説します。
1. SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とは
SSRIは、強迫性障害の治療で最も一般的に使用される薬です。この薬は脳内の神経伝達物質「セロトニン」の再取り込みを抑制し、その濃度を増加させることで、強迫観念や不安感を和らげます。ただし、医師に相談の上、自分にあった薬を見つけていくことが大切だと思います。また、副作用についての確認は重要です。そして、自分はそれだけでなく、「依存性」も確かめるようにしています。診療内科で処方される薬を辞める際には、それだけで、眩暈が発生してしまったり、離脱症状が出る薬もあります。自分の知り合いは、パキシルを辞めることが出来ずに、一度服薬を止めていましたが、、吐き気、不安感、イライラ、眠気、不眠などもあり、結果、また服薬するようになったとのことです。妻も精神薬を飲んでいましたが、最初は、離脱症状などに苦しみました。服薬の際には、そういった面もきちんと医師に相談していくことが大切です。
主なSSRIの種類:
- パキシル(一般名:パロキセチン)
- フルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)
- ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)
- レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)
- ルボックス/デプロメール(一般名:フルボキサミン)
効果:
- 強迫観念の軽減:頭に浮かぶ不安な考えやイメージの頻度を減少させます。
- 強迫行為の抑制:不安軽減のための繰り返し行動を減らします。
- 気分の安定:併存しやすいうつ症状を軽減する効果もあります。
2. 薬物療法の実際の効果
SSRIは、多くの患者で強迫性障害の症状を緩和する効果があるとされています。ただし、効果が現れるまでに4~6週間程度かかることが一般的です。また、すべての患者に同じように効果があるわけではなく、一部の人では効果が見られない場合もあります。
効果が見られる場合:
- 症状が緩和され、日常生活が送りやすくなる。
- 強迫観念や強迫行為が軽減し、精神的な負担が減る。
効果が見られない場合:
- 他の薬や治療法(心理療法や認知行動療法)を併用することが検討されます。
3. 副作用について
薬物治療には効果がある一方で、副作用が現れることもあります。以下は、SSRIでよく見られる副作用です。
主な副作用:
- 吐き気や胃の不快感
- 頭痛やめまい
- 不安感や落ち着きのなさ(服用初期に一時的に増加することがあります)
- 眠気や不眠
- 性機能の低下(性欲減退や勃起不全など)
- 体重増加
副作用への対処:
- 副作用が軽微であれば、通常数週間で消失します。
- 副作用が強い場合は、医師に相談して薬の変更や調整を検討します。
4. その他の薬物療法
SSRIが効果を示さない場合、以下の薬が代替または補助的に使用されることがあります。
- 三環系抗うつ薬(クロミプラミン)
SSRIの前に使用されていた薬で、効果が強い場合もありますが、副作用が多いため第二選択肢となることが一般的です。 - 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)
即効性があり、一時的な不安の軽減に使用されることがありますが、依存のリスクがあるため、長期使用は避けます。不安や緊張を速やかにしずめてくれる抗不安薬(精神安定剤)は、症状が辛いときの頓服薬としても優れた特徴を持っています。現在使われている抗不安薬は、ほとんどが『ベンゾジアゼピン系』という分類で、脳のリラックス物質GABAの働きを高め、抗不安や催眠などの効果を発揮します。しかし、同じベンゾジアゼピン系抗不安薬といっても作用時間や効果の強さには違いがあり、状態に合わせて選ぶことが大切です。 - 抗精神病薬
SSRIと併用される場合があります。特に治療抵抗性OCD(薬に対して効果が乏しい場合)の場合に使用されることがあります。
5. 実際の事例や体験談
事例1:SSRIで改善したケース
20代女性。長年、外出前に30分以上鍵を確認する行為に苦しんでいた。SSRI(フルボキサミン)を服用後、1か月程度で不安が軽減され、鍵の確認が数回で済むようになり、外出が楽になった。
事例2:副作用で薬を変更したケース
40代男性。SSRI(パロキセチン)を服用開始後、初期に不眠と性欲減退を経験。医師に相談し、セルトラリンに変更した結果、副作用が軽減し、生活の質が向上した。
事例3:薬物療法と心理療法の併用
30代女性。SSRIのみでは効果が不十分だったため、認知行動療法(CBT)を並行して行い、強迫行為が大幅に減少。薬物治療と心理療法の併用が効果的だった。
6. 薬物治療の限界と注意点
- 薬物療法の限界:
薬だけで症状を完全に取り除くことは難しい場合があります。特に、行動や習慣として定着した強迫行為には心理療法が必要です。 - 服用の中止について:
薬の服用を自己判断で中止すると、症状が再発するリスクがあります。中止する場合は、医師と相談しながら徐々に減薬する必要があります。
うちの息子の服薬について
アリピプラゾ 1mg(抗精神薬)
アリピプラゾール(商品名:エビリファイなど)は、抗精神病薬の一種で、主に統合失調症や双極性障害の治療に使われるお薬です。特に少量(1mgなど)で使用される場合、以下のような効果が期待されます。
1. 気分の安定作用
アリピプラゾールは、脳内の神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン)のバランスを調整する作用があります。これにより、気分の波を和らげたり、過度の不安や興奮を軽減する効果があります。
2. 精神的な安定
軽い興奮やイライラ、過敏な反応を抑えることで、精神的な安定感をサポートします。このため、ストレスや不安の多い状況での補助的な治療として少量で処方されることがあります。
3. 過剰な活動の抑制
アリピプラゾールは、過剰な活動や衝動的な行動を和らげる効果があります。そのため、注意欠陥・多動性障害(ADHD)やその他の衝動制御の治療に少量で使われることもあります。
少量の使用について
1mgのような少量での使用は、副作用を最小限に抑えながら、軽い症状に対応することを目的としています。特に不安や気分変動が軽度の場合に使われることがあります。
注意点
- 眠気、めまい、吐き気などの軽い副作用が出る場合があります。
- 少量で効果が十分でない場合、医師の指示で徐々に量を調整することがあります。
- 他の薬を飲んでいる場合や、特定の持病がある場合は、医師に必ず伝えてください。
お薬の効果は人によって異なりますので、何か気になる症状や効果が感じられない場合は、遠慮なく主治医に相談してくださいね。
クエチアピン 25mg(強迫性障害(OCD)に対する適応症として公式には承認されていません。しかし、臨床の現場では一部のケースで補助的に使用されることがあります)
強迫性障害(OCD)におけるクエチアピンの役割
強迫性障害の第一選択薬は通常、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(例:フルボキサミン、セルトラリン)です。また、場合によっては行動療法や認知行動療法(CBT)が併用されます。
クエチアピンが強迫性障害に使用される場合は、以下のような状況が考えられます:
- 不安や興奮が強い場合
クエチアピンには不安を抑える作用があり、不安が強迫行動を悪化させている場合に有効なことがあります。 - 他の薬が十分に効果を発揮しない場合
SSRI単独での効果が不十分な場合、クエチアピンを補助的に使用して症状を軽減する試みがされることがあります(「アジュバント療法」)。 - 睡眠障害がある場合
クエチアピンの鎮静作用が睡眠を改善し、それが間接的に強迫症状を和らげる助けになることがあります。
息子における効果はどれほどになるのか?と言われれば、さほど変化が見られないように感じます。この「感じます」というのは実は重要かなと思います。実際には、服薬しているので、何等かの効果があるものと思います。気分を和らげる意味での効果はあるものだと思います。
ただし、日常生活で、「効果があった!」のように感じることは難しいです。それは、服薬を開始してから、もう5年くらいたっていて、量などの変化はありますから、その時には効果を感じれるものですが、日常生活は続くため、それが「普通」にも変わっていくものだと思います。「服薬していなかったら」「服薬しているから」と考えながら、日常生活を送っているわけではないから、結果的に、その状態でいることが当たり前のように感じてくるのです。だから、「変化」という点を感じれるのは、服薬直後であり、それが少しずつ薄れていき、服薬をしている状況の息子を、当たり前のように感じるのです。薬を飲んでいなかったら、もっと強迫性障害が酷くなるのかもしれませんが、時間が立てばたつほど、それを見抜くのは難しいものです。
だからこそ、服薬に頼るだけではなく、日常生活での接し方や配慮(合理的配慮)、認知行動療法など、服薬以外の所で安心感のある生活を送れるように支援、子育てするのが重要だと思っています。

僕が信頼している医師・看護師の方から、この人は「強迫性障害」の第一人者の先生だよと教えて貰った方の本です。短絡的に「不安を無くす!」という本ではなく、どう向き合っていくかという内容です。子供の心の負担を無くすことを考える一冊として、僕は手元においています。
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まとめ
薬物療法は、強迫性障害の治療において重要な選択肢の一つです。SSRIを中心とした薬は、多くの患者に効果をもたらしますが、副作用や個人差もあります。そのため、薬物療法だけでなく、認知行動療法など他の治療法との併用も視野に入れることが大切です。不安な点があれば、医師や専門家に相談し、最適な治療法を選びましょう。
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