強迫性障害の原因とリスク要因
強迫性障害(OCD)は、日常生活に大きな影響を及ぼす精神疾患ですが、その原因は単一ではなく、複数の要因が絡み合っています。この記事では、OCDの発症に関わる脳の働きや神経伝達物質、遺伝や環境要因、そしてストレスやトラウマとの関連について詳しく解説します。
1. 脳の働きや神経伝達物質の影響
OCDは、脳の特定の領域の異常な活動と関連していることが知られています。特に、前頭葉(意思決定や行動制御に関与)や基底核(行動の開始や制御に関与)が重要な役割を果たしています。
- 神経伝達物質の役割
OCDは、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質の働きが不均衡であることが関係していると考えられています。セロトニンは、感情の調整や思考の柔軟性に重要な役割を果たしますが、その機能が低下すると、強迫観念や強迫行為が現れる可能性があります。 - 脳の過剰な活動
MRI研究によると、OCDの患者では特定の脳領域(例えば、前帯状皮質や尾状核)の活動が過剰になっていることが確認されています。このような脳の過活動が、強迫的な思考や行動の繰り返しを引き起こすと考えられます。
2. 遺伝的要因と環境要因
- 遺伝的要因
OCDは遺伝的要素を持つ可能性が高いとされています。家族にOCDを患っている人がいる場合、発症リスクが高まることが研究で示されています。ただし、遺伝だけでなく、環境的要因が組み合わさることで発症するケースが多いです。 - 環境要因
環境的要因もOCDの発症に影響を及ぼします。以下のような要因が挙げられます:- 幼少期の逆境(虐待やネグレクトなど)
- 感染症(特に小児期に溶連菌感染後の症状として現れる場合があります)
- 社会的ストレス(仕事や家庭環境の問題など)
- 学校や職場でのいじめやハラスメント
- 重度の身体的病気や手術後の心理的ストレス
- 経済的困難や失業によるストレス
- 大規模な自然災害や事故への遭遇
- 親やパートナーとの離別や喪失
3. ストレスやトラウマとの関連
- ストレス
OCDの発症や悪化は、ストレスフルな出来事と密接に関連していることが多いです。たとえば、人生の大きな変化(引っ越し、離婚、職場の変化など)がトリガーとなる場合があります。 - トラウマ
トラウマ体験(例えば、事故、虐待、戦争体験など)は、OCDの発症リスクを高める可能性があります。これらの体験は、脳のストレス応答システムに影響を与え、強迫的な思考や行動を引き起こすきっかけとなることがあります。
親子関係におけるリスク行動
親子関係において以下のような行動がOCDの発症リスクを上げる可能性があります。
こういった行動をさけることも大切なことです。以前から解説していますが、僕は、自閉症というのは、「small版強迫性障害」だと思っていることがあります。つまり、二次的障害を発生しやすいものという認識です。だからこそ、発達障害のママにはこういった点に注意してほしいと思うのです。
- 親自身の精神的問題:親がOCDやその他の精神疾患を抱えている場合、それが子どもに影響する。
- 過度な管理や支配的な態度:子どもの自主性を抑えつけ、過剰なプレッシャーを与える。
- 過保護すぎる態度:子どもの失敗や挑戦を避けさせ、恐怖心や不安を増大させる。
- 感情的な不安定さ:親が頻繁に怒りや不安を表出することで、子どもに不安定な環境を与える。
- 一貫性のないしつけ:親の対応が状況に応じて変わりすぎることで、子どもが混乱しやすくなる。
うちの息子の強迫性障害の原因は?(経験から学ぶ)遺伝的要因
うちの息子の場合は、恐怖心が問題だったと思います。うちの息子は、怖がりですが、幼少期の頃の妻も、話を聞いているとかなりの怖がりだったようです。ちなみにうちの娘も怖がりだと思っています。この「怖がり」というのが、大切な視点のように思います。怖がりが過度に怖がりだと、そのことに慣れるまでは、物事に「過敏」になるのではないかな?と思います。
うちの息子の場合、
- 幼少期から妻と母の喧嘩が耐えませんでした。妻も精神疾患が出ていたため、本当にすごい喧嘩だったようです。
- また、小学校に入ると、特別支援学校に入ったのですが、周りのお友達の「奇声」「物を叩く音」が怖かったと言います。
- また、それに合わせて、地元で良い放デイと聞いていた所に入りましたが、そこは重度の子たちが多い放デイであり、学校と同じような恐怖心がありました。そこの放デイさんは、個別対応をしてくれましたが、結果的に息子の口から出るのは「それでも怖かった」と今は言うわけです。
- また、暴力的なシーンは小さい頃から苦手でした。テレビを壊した事もありました。
- テレビでハイジャックのシーンを見てから、飛行機になるのは嫌だと怖がっていました。
- 鬼滅の刃で極度のトラウマが出来てしまいました。
自閉症傾向があり、特に「怖がり」のお子様がいる場合は、小学校までは見て良いものなどの判断は親御さんがすべきではないかな?と僕は思います。今の時代は、情報に溢れています。YouTubeなどを見て貰うことで、親の時間を確保する時もあるかもしれません。そういったことを考慮にすべきかもしれません。
まとめ
強迫性障害の原因は、脳の機能や神経伝達物質の働き、遺伝や環境要因、そしてストレスやトラウマなど、さまざまな要因が絡み合っています。これらの要因を理解することで、病気の根本に近づき、効果的な治療や対策を見つける助けになります。うちの場合は、キーワードは「暴力」だと思っています。そこへの恐怖としてのこだわりが息子の日常の発言からも垣間見えます。逆に言えば、「平和」に対してのこだわりが見えています。良いものを増やして、悪い行動を減らす(ABAの目的)の考え方と同じように、「心地よいイメージを増やして、悪いイメージを減らす」という対処法を日々やっています。それに慣れ、息子も一番苦手な1・2月(2月は節分で「鬼」がくるという印象で日々落ち着きません)を乗り切ろうと、頑張ってます。
次回の記事では、強迫性障害の具体的な症状やタイプについて掘り下げて解説します。OCDに関する知識を深めることで、自分や身近な人が抱える問題に対する理解が進むでしょう。
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