

保育園からの指摘や、自分の中での気づき。色んな形で、自分の子に対して不安になるのが乳幼児期なのではないでしょうか。その時に、僕らが経験したことを通じて、誰かの参考になるように、一般的な発達障害児の診断までの流れを伝えながら、親の気持ちを理解できるような記事にしました。
はじめに:一人じゃない。私たちの経験が、誰かの光になりますように
【家族の体験談】「あれ?もしかして?」から始まった、発達障害の診断と支援の道のり
お子さんの発達について「あれ?」と感じた時、私たち親の心の中には、様々な感情が渦巻きます。不安、戸惑い、もしかしたら「気のせいかな」と目を背けたくなった瞬間もあるかもしれません。
このロードマップは、まさに私たちが経験した「発達の気になる点に気づいた時」から「診断を受け、必要な支援と繋がるまで」の道のりを、正直な気持ちとともにお伝えするものです。医療機関や行政、教育機関の視点ではなく、私たち親が実際にどう感じ、どう動いたのかをリアルに描くことで、今同じような不安を抱えているあなたに、少しでも寄り添い、具体的な一歩を踏み出す勇気を与えたいと願っています。
僕たち家族の経験が、あなたの未来を照らす光となることを願っています。
「あれ?もしかして?」違和感から気づきへ
子育ては日々新しい発見の連続ですが、時には「他の子と少し違うかも…?」という、小さな、でも無視できない違和感を抱くことがあります。私たちの場合は、言葉の遅れや、特定の音への強い反応、他のお子さんとの関わり方でふと立ち止まることが増えました。
- 気づきのサイン(私たちの場合):
- 言葉の育ち:「2歳になっても単語がほとんど出ないな」「なかなか目が合わないな」と感じ始めた時。(妻の経験より)
- 社会性・コミュニケーション:公園で他のお子さんとの遊びに入りたがらない、集団活動で一人だけ別の行動をしている姿を見た時。(妻の経験より)/逆に積極的に、だれかれ構わず話しかけてしまう(娘を見つめていて)
- 動き回ってしまう。じっとしていられない:とこに行っても走り回っていて、病院などでも座って待つことができない(娘を見つめていて)
- こだわりや繰り返しの行動:おもちゃの並べ方や特定のルーティンに異常にこだわる、手をヒラヒラさせるなどの反復行動が気になる時。(妻の経験より)
- 感覚の敏感さ:特定の音や光、肌触りを極端に嫌がる、逆に痛みや寒さに鈍感なように見える時。(妻の経験より)
- きっかけは、何気ない会話から:
- 保育園や幼稚園の先生との面談で「〇〇ちゃん、少し気になる点がありまして…」と言われた時、ハッとすることが多かったです。友人や親族との会話の中で、「うちの子とはちょっと違うかもね」という言葉が心に残ったことも。
- 最初は「個性かな?」と様子を見ていましたが、日を追うごとにその違和感が大きくなり、漠然とした不安に変わっていきました。
私たちからのメッセージ: その「あれ?」という感覚を大切にしてください。それは、お子さんが発している大切なサインかもしれません。
「どこに相談すればいいの?」迷った時、私たちが最初の一歩を踏み出した場所
「この不安、どこに話せばいいんだろう?」初めてそう思った時、インターネットで検索したり、周りのママ友に聞いたりしましたが、情報が多すぎてさらに混乱しました。そんな中、私たちが見つけた、最初の一歩を踏み出しやすい場所はいくつかありました。
- 私たちの経験:
- 乳幼児健診:1歳半や3歳児健診は、定期的に専門家と話せる貴重な機会です。保健師さんから発達について具体的なアドバイスをもらえ、専門機関を紹介してもらえたことが大きなきっかけになりました。
- 保育園・幼稚園・学校の先生:毎日お子さんと接している先生からの視点はとても参考になります。「こんな様子がありましたよ」という先生からの情報が、私たちの気づきを確信に変え、相談への背中を押してくれました。たくさんの生徒さんを見てきたからこその指摘は、素直に受け入れていくべきだと思います。繊細な内容だからこそ、僕は「その指摘は控えめにされているもの」だと考えるようにしていました。
- かかりつけの小児科医:普段から診てもらっている先生に、まずはざっくりと相談してみました。すると、親身になって話を聞いてくれ、発達を専門とする病院を紹介してくれたり、私たち家族の不安に寄り添ってくれました。娘の時には、お兄ちゃんのこともあったので、理解はしやすかったのですが、改めて丁寧に説明してくれました。
私たちからのメッセージ: どこから始めても大丈夫です。まずは、普段から身近にいて、お子さんのことを知ってくれている人に話してみるのがおすすめです。
「どんなことをするの?」初めての発達評価・スクリーニング体験
相談先が見つかったら、次はお子さんの発達を客観的に評価するステップに進みました。私たちにとっては、初めての経験で緊張しましたが、「子どもの得意なこと、苦手なことを知る大切な時間なんだ」と心に言い聞かせました。
- 評価プロセス(私たちの体験):
- 発達検査:専門の先生が、おもちゃや絵カードなどを使って、子どもと遊びながら発達の様子を見てくれました。K式や田中ビネーなど、いくつか種類があるようですが、子どもは意外と楽しそうに受けていました。
- 質問票や面談:私たちの役割は、お子さんのこれまでの発達や、家での様子、気になっている行動について詳しく伝えることでした。「こんなことまで聞かれるんだ」と思うこともありましたが、それが子どもの全体像を把握するために必要なことだと理解しました。
- 観察:専門家がお子さんが遊んでいる様子をじっくりと観察してくれました。普段私たちが見ているだけでは気づかないような、専門的な視点からの発見があったようです。
- どこで受けた?
- 私たちの場合は、保健センターで最初のスクリーニングを受け、保健師さんと相談していきました。また、保健師さんは、娘の保育園にも足を運び、そこでの様子を観察してくれていたようです。その後、地元の療育園で診察を受けました。
私たちからのメッセージ: 検査の結果に一喜一憂せず、お子さんの「個性」を知るための大切な機会だと捉えてください。
「いよいよ専門の先生の元へ」診断への期待と不安
評価が終わると、いよいよ専門医による診察の段階に進みました。この時期は、診断への期待と、もし診断名がついたらどうしようという不安が入り混じり、私たちの心は落ち着きませんでした。
- 診察のプロセス(私たちの体験):
- 詳しい聞き取り:医師の先生は、私たちの不安な気持ちに寄り添いながら、お子さんが生まれてからこれまでのこと、家庭での様子、そして私たちの家族についても丁寧に聞き取ってくれました。まるで、わが子の半生を語るような時間でした。また、親に質問をしながら、子供は看護師さんに遊ばせて貰いましたが、医師はその瞬間も子供の言動をしっかり観察してくれていたように感じました。
- 追加の検査:心理検査(WISCなど)や、時には脳波検査のような医療的な検査も行われました。どれも、お子さんの特性をより深く理解するために必要なことだと説明を受けました。
- 診断基準:ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの診断名が、世界的な診断基準に基づいて評価されると聞き、専門性の高さを感じました。
- 待つ時間:
- 予約の取りにくさや、検査結果が出るまでの期間があり、数週間から数ヶ月待つこともありました。この待つ時間も、正直に言って辛かったです。診断が降りた時よりも、この時間の方が辛かったようにも思えます。
私たちからのメッセージ: どんな結果であっても、お子さんへの愛情は変わりません。また、「〇ちゃんは〇ちゃん」で変わりません。急に日常が変わるわけでもありません。診断は、お子さんの未来をより良くするための「扉」だと信じて、一歩一歩進みましょう。
「診断を受けた日、私たちの心境は?」診断の確定、そして新たなスタートライン
専門医から最終的な診断結果を告げられた日。私たちは、衝撃、安堵、そして少しの悲しみ、様々な感情がごちゃ混ぜになりました。診断名がはっきりすることで、漠然とした不安が具体的な課題へと変わり、「これで前に進める」という希望も見えました。妻は泣きながら、「なんで?なんでなの?」と僕に泣いてすがりました。僕は冷静に、「娘は大丈夫。僕らがしっかり愛情を注いでいこう」と伝えました。でも、僕は、妻に隠れて、一人で出かけた時に号泣しました。お兄ちゃんの時には、僕は、その診断の場所にはいませんでした。養子縁組をする際には、葛藤がありましたが、それは受容とは異なるように思います。娘の時には、受容となりました。妻は、お兄ちゃんの時とは異なり、言葉もあり、顕著な特性を感じていなかったので、「障害である」とは思っていなかったのです。僕自身も一緒でした。だからこそのショックもありました。それでも、「早期療育が良い」という点を考えれば、診断を早くに行ったことに後悔はありません。
- 診断結果を受け止める:
- 私たちの場合は、診断名がつきました。診断名がつくことの重みを感じましたが、「発達の遅れ」や「特性がある」と表現されることもあります。
- 診断名自体が全てではないと医師から説明を受け、それが私たちに大きな気づきを与えてくれました。診断は、お子さんを理解し、適切な支援につなげるためのツールであり、決してレッテルではない、と。
- 特性という言葉が教えてくれたこと:
- 「こだわりが強いのは、感受性が豊かな証拠なんだ」「じっとしているのが苦手なのは、行動力が溢れているからなんだ」といったポジティブな見方も教えてもらい、わが子の特性を新たな視点から見つめ直すことができました。
私たちからのメッセージ: 診断名に囚われず、お子さんの個性や強みを大切にしてください。この診断は、お子さんの未来をより豊かにするための、新たなスタートラインです。
「診断の先に見えた、わが子を支える具体的な道筋」支援の計画と連携
診断が確定した後、私たちは「これから何をすればいいんだろう?」と再び立ち止まりました。しかし、専門医や相談支援事業所が、わが子に合った具体的な支援計画を一緒に立ててくれたことで、目の前に道筋が見えてきました。
- 私たちが見つけた支援の例:
- 療育との出会い:療育園や民間の療育施設に通い始めました。言語療法で言葉の練習をしたり、音楽療法で楽しみながら子供の成長を感じたり、遊びを通して社会性を育んだり。最初は戸惑った子どもも、少しずつ楽しく通えるようになりました。
- 学校との二人三脚:小学校入学の際には、特別支援学級や通級指導教室といった選択肢を知り、お子さんの特性に合った学びの場を選ぶことができました。学校の先生との連携も密になり、「個別支援計画」に基づいて、きめ細やかなサポートを受けられるようになりました。
- 行政サービスへの申請:療育手帳や障害者手帳の申請、障害児通所支援(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)の利用手続きは、最初は複雑に感じましたが、相談支援専門員さんが丁寧にサポートしてくれたおかげで、無事に進めることができました。
- 支え合う連携:
- 医療機関、学校、療育施設、行政がそれぞれバラバラではなく、連携して私たち家族を支えてくれる体制があることを知り、大きな安心感を得られました。
私たちからのメッセージ: 診断は「終わり」ではなく、「始まり」です。適切な支援と繋がり、お子さんの可能性を最大限に引き出すための具体的なステップを踏み出しましょう。
「わが子の成長と共に変わる支援の形」継続的なフォローアップと、私たちからのメッセージ
発達障害のあるお子さんの成長は、まさに十人十色。支援の形も、その子の成長と共に変化していきます。私たちは、定期的に支援の見直しを行い、その時々のお子さんの状態に合わせたサポートを調整することの大切さを実感しています。
- 定期的な振り返りの大切さ:
- 半年に一度、一年に一度など、定期的に面談の機会を設けてもらい、お子さんの成長の記録を振り返り、現在の課題や、これから必要となる支援について話し合っています。
- 情報共有の重要性:
- 医療機関の医師、学校の先生、療育施設のスタッフ、そして私たち保護者が、お子さんの情報を共有し、連携を取り続けることで、一貫した支援に繋がると感じています。
- 一人じゃない、支え合う仲間がいる:
- 親の会に参加したり、学校のバス停での保護者との関わり、同じ悩みを持つ保護者の方と繋がったりすることで、情報交換だけでなく、精神的な支えを得ることができました。何より「一人じゃない」と感じられることが、私たち親の大きな力になります。
- 私たちから伝えたいこと:
- 早期発見・早期支援の重要性:早くから適切な支援を受けることで、お子さんの可能性は大きく広がります。もし気になることがあれば、迷わず専門家を頼ってください。
- 診断はゴールではない:診断は、お子さんを理解し、より良い支援につなげるための「手段」です。診断名に囚われすぎず、お子さん一人ひとりの個性や強みを大切にしてください。
- 地域差について:支援の内容や相談窓口の充実度は地域によって異なります。まずは地元の保健センターや子育て支援窓口に問い合わせて、地域の情報を集めるのが賢明です。
終わりに
発達障害のあるお子さんとの歩みは、決して平坦な道のりばかりではないかもしれません。しかし、適切な支援と温かい理解があれば、お子さんは必ず自分らしく成長し、輝く未来を築いていけます。私たち家族の経験が、今まさにその一歩を踏み出そうとしている、あるいは歩みを進めているあなたにとって、少しでも役立つことを心から願っています。
具体的な相談先(日本):
- 教育相談窓口:学校内や教育委員会に設置されており、就学や学校生活に関する相談が可能です。
- 市区町村の保健センター:乳幼児健診や発達相談の最初の窓口です。
- 発達障害者支援センター:各都道府県・指定都市に設置されており、相談や情報提供、関係機関との連携支援を行っています。
- 小児科・児童精神科:日本小児神経学会や日本児童青年精神医学会のウェブサイトで専門医を探すことができます。
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