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強迫性障害(OCD)は、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼし、人間関係や仕事、学業に困難をもたらします。この記事では、OCDの影響と具体的な対処法、家族や周囲のサポート方法について詳しく解説します。

強迫性障害とは?日常生活にどう影響するのか
(1) 人間関係のトラブルとその理由
強迫性障害(OCD)の症状は、対人関係において以下のような問題を引き起こすことがあります。
- 確認行為が多く、時間に遅れやすい
- 潔癖症のような行動をとり、周囲と衝突することがある
- 完璧主義のため、相手の言動に対して敏感になりすぎる
これらの特徴により、家族や友人、同僚との関係にストレスが生じやすくなります。
(2) 仕事や学業における困難とは?
- 作業に時間がかかる(何度も確認する、訂正を繰り返す)
- 「ミスをしてはいけない」という強迫観念により、決断できない
- 他人の行動に過剰に反応し、ストレスが溜まりやすい
(3) 日常生活で起こる問題
- 外出準備に時間がかかりすぎる(戸締まり確認、持ち物のチェックなど)
- 買い物で選択に迷い、時間がかかる
- ルーチンが崩れると不安が強くなり、パニックになることがある
細かな強迫性障害の説明については下記リンクを参考にして頂ければと思います。
強迫性障害 ③概要 強迫性障害の説明 どんな障害か? | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記
強迫性障害の人の「家族を巻き込み」について

強迫性障害(OCD)の人が家族を巻き込んでしまうことを 「家族巻き込み(family accommodation)」 と呼びます。どんな風に巻き込みがあるのかを、理解することから始め、対応方法を考えていきたいと思います。
これは、家族が本人の強迫観念や強迫行為に関与することで、不安を和らげるのを助けたり、強迫行為を促進してしまう状況を指します。例えば、何度も確認を求められて応じる、特定の行動を代わりにやってあげる、強迫性障害の人の要求に従うなどが含まれます。このことについては、発達障害児家族が直面する内容にも酷似していると思います。
強迫性障害は二次障害ですが、自閉症児などの発達障害のお子様が抱える「不安」を考えると、自閉症=プチ強迫性障害と言えます。だからこそ、その対応方法は似てくるものだと思います。
強迫性障害が家族を巻き込むことで起こる弊害
① 強迫行為が悪化し、治療が難しくなる
- 家族が協力することで、一時的にOCDの人は安心しますが結果として強迫行為が強化されてしまいます。
- 本人が「家族に頼れば安心できる」と学習し、自分で不安に耐える力が育たなくなります。
例:子どもが「この服を着ても大丈夫?」と毎朝聞いてくる→親が「大丈夫」と答える→毎日繰り返され、確認しないと外出できなくなる。
こういった点が、自閉症傾向の常同行動にも似ているように思います。ドアを閉める行為が繰り返される子供などのように、そこに安心感があることは関係性があるように思います。不安だから同じ行動をするというのは、自己肯定感とも関係してきます。だからこそ、そういった点をよく考えたサポートが必要になってきます。下記のブログ内でその詳細を書いています。また、解説動画でも解説しています。
ペアレントトレーニング 第5回 ⑤自己肯定感の低下についてより深く考える | あひるのお 発達障害児パパママ blog 陽の日日記
② 家族が疲弊し、ストレスが蓄積する
- 家族がOCDの要求に応じ続けると、精神的にも肉体的にも疲れ果ててしまいます。
- OCDの人の不安が強まると、家族もそれに巻き込まれて生活が制限されることがあります。
例:「家の鍵を何度も確認して」と頼まれる家族が、毎回付き合ううちにストレスを感じるようになる。
③ 家族間の対立や不和が生じる
- 強迫性障害の人と関わるうちに、家族がイライラしたり、対立が増えることがあります。
- 「また確認してるの?」「いい加減にして!」といった衝突が起きやすくなります。
例:夫が強迫観念により、家の清掃を徹底するよう妻に求める→妻がストレスを感じ、夫婦喧嘩になる
④ 家族全体の生活が制限される
- 強迫性障害の人のルールに従わないと、家族も不安や罪悪感を抱えることがあります。
- 家族が自由に行動できなくなり、社会生活にも影響を及ぼすことがあります。
例:「玄関を踏むと不潔だから靴を脱ぐ場所を変えて」と言われ、家族全員がルールに従わなければならなくなる。
家族巻き込みを減らすための対策
- 「OCDの不安に共感するが、強迫行為には付き合わない」ルールを決める
- 家族もカウンセリングや支援を受け、適切な対応を学ぶ
- 少しずつ本人が不安に耐える機会を増やす(曝露反応妨害:ERPの導入)
- 「1回は確認に付き合うが、それ以上は手伝わない」などの段階的な制限を設ける
家族が適切な距離を保ちつつ、OCDの人をサポートすることが、症状の改善につながります!
強迫性障害(OCD)を持つ家族のサポートロードマップ

ステップ1:強迫性障害の理解を深める
目的:家族がOCDを正しく理解し、適切な対応をするため
行動
- 強迫性障害の症状やメカニズムを学ぶ(本・専門サイト・医師の話など)
- 「確認したくなるのは不安を和らげるため」と理解する
- 「やめようと思ってもやめられない」という特性を知る
例:
「何度も手を洗うなんておかしい」と否定せず、「不安を感じるから手を洗いたくなるんだね」と共感する。
ステップ2:適切な関わり方を身につける
目的:強迫行為を助長せず、不安を適切に軽減するため
行動
- 過剰に手伝わない(強迫行為に巻き込まれない)
- 「大丈夫だよ」と安心させすぎない(強迫行為を肯定しない)
- 決めたルールを守る(例:「確認は3回まで」など)
例:
子どもが「ドアの鍵をもう一度確認して!」と言ったときに、「一緒に行こうか」と言わず、「1回で確認したなら大丈夫だよ」と伝える。
ステップ3:強迫行為を徐々に減らす支援をする
目的:少しずつ強迫行為を減らし、日常生活を楽にする
行動
- 「不安を感じてもやらずに耐える練習」を一緒に行う
- 短時間の曝露(ERP)を試す(例:「今日は1回我慢してみよう」)
- 成功したら、過度に褒めず、自然に「できたね」と伝える
例:
「今日は手洗いを1回減らしてみようね。1回やらなかったらどうなるか試してみよう!」と提案し、小さな成功体験を積み重ねる。
ステップ4:ストレス管理とリラックス法を取り入れる
目的:強迫性障害の症状を悪化させるストレスを軽減する
行動
- 深呼吸や瞑想などのリラクゼーションを習慣にする
- 運動や趣味の時間を作り、気を紛らわせる
- 家族もストレスを溜め込まないよう、自分の時間を大切にする
例:
「不安になったら一緒にストレッチしよう」「お風呂でゆっくりしよう」と、気分転換の習慣を作る。
ステップ5:医療機関や支援団体を活用する
目的:専門的なサポートを受け、家族も安心できる環境を作る
行動
- 心理療法(CBT・ERP)を受けられる病院を探す
- 家族向けのOCD支援グループに参加する
- 学校や職場に配慮を相談し、合理的な調整を求める
例:
「先生に、試験前に特別に時間をもらえるようお願いしようか?」と学校側と連携を取る。
まとめ:強迫性障害 家族のサポート方法
強迫性障害は日常生活に大きな影響を与えますが、適切な対応や環境を整えることで改善が可能
- OCDの影響は、人間関係、仕事・学業、日常生活に及ぶ。
- 家族や友人は、強迫行為を助長せず、適切な距離を保ちながらサポートする。
- ルーチンの見直しや、不安をコントロールするスキルを身につける。
- 必要に応じて専門家の支援を活用する。
🌱 家族ができるサポートのポイント
- OCDを理解し、適切な対応を学ぶ
- 強迫行為に巻き込まれず、少しずつ改善へ導く
- ストレス管理やリラックス法を取り入れる
- 専門家の力を借りる
家族が適切な対応をすることで、OCDの改善を助けることができます。完璧に支えようとせず、できる範囲でサポートを続けることが大切です。
stand.fm(ラジオ配信) 強迫性障害の家族の向き合い方
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