とんでもない暴言・暴力だったADHDの中学3年生の男の子が、希望の光になった日

放課後等デイサービスでのお仕事のお話
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自閉症スペクトラムランキング

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 今日、僕の放課後等デイサービスの生徒、受験で普通高校に合格しました。僕にとっては、それは凄いことなのです。だって…その子は、本当に、大変な子だったからです。僕との関わりは、3年前からになります。でも、実は、もっと前から出会っていたのです。ADHDがあり、小学1年生から中学2年生まで、支援級でした。

 それは、うちの息子が(僕の勤めている)放デイにいた時に、今の社長が、「〇〇!お前が、この子の面倒を見てくれ」と頼んだのでした。同級生だったのですが、明らかに、うちの子と合うタイプではない子。うちの息子は、静かな子で、内気。誰とも喋れない。基本的には、強い自閉症。そもそも、店舗にも入れないような子です。その男の子は、元気も元気。暴言に暴力。先生も呼び捨て。手が出やすい。何をやっても自分からスタート!みたいな子だったのです。その子がいるということだけで、数名の生徒が喧嘩をしたりして、放デイを辞めてしまったと聞いていました。

 誤解を受けやすいですが、僕は、最初から彼が良い子だと思っていました。(そもそも、悪い子なんていないですが)ただ、コアが綺麗な男の子だと思っていたのです。本当は、凄く優しい、心がさっぱりしている良い子。




 その男の子との出会いは、僕が入社して初めての土曜日の日でした。その日にその男の子は、ある自閉症の高校生の子をからかいました。それで、怒ったその子が壁を叩いて、壁に穴をあけてしまったのでした。でも、その子は、普段は大人しい子なのです。僕は、辛かった数名の子供たちを叱りました。叱ったのは彼らは、将来、一般の社会で生きていく、言葉の理解力がある子たちだったからです。

 心の中は冷静でしたが、

「なんで君たちは、この男の子をバカにしたんだ?侮辱して、けなして楽しいのか?」

「しらねーよ。勝手に怒って壁に穴開けたんだろ?」

「いや、違う。この子はそんなことをするような子じゃないだろ?それに俺は君たちの話を聞いていたんだよ」

そういっても悪態をつく彼らに僕は強い口調で言いました。

「なんで、俺は君たちを大事に思っているのに、君たちと同じように俺が大切にしたいと思っているこの子をバカにするんだ?俺が大切に思っている生徒をバカにするヤツは許せない。でも、それが君たちか?君たちは、障害が、より重い子をバカにするのか?その親の気持ち、君たちの親の気持ちを分かるか。俺の子は、知的障害がある。言葉だってたどたどしい。自分の子をバカにしたら、俺は許せない。俺は、この子の親を知っている。どんな気持ちで育ててきたか。障害があることで、何度も泣いてきたことを知っている。うちもそうだ。そして、君たちの親も一緒だ。その親の気持ちが分かるか?だから、君たちがしていることを呑気な顔して見逃すようなことは出来ない。そのお母さんの気持ちを無碍にできないし、君たちの親がそんな姿を見たら悲しむから、黙って見逃せない」

そう伝えた時に、その男の子は、僕の話を笑おうとした他の生徒に

「お前ら、ちゃんと聞け」といさめたのでした。その時から、僕とその男の子は、近かりし関係になりました。柔道部に入ったその子と悪ふざけも沢山しました。マットの上で、投げ飛ばされたり投げ飛ばしたり、寝技をかけっこしたり…。良い年なのに、本気で鬼ごっこもしました。そして、恋の話も沢山しました。帰りの送迎で、会社に内緒で好きな女の子の家に行ったりもしました。彼がバレーボールをしたいと言ったので、ずっと一緒にバレーをしていたこともありました。

 そして、彼は、どんどん落ち着いていき、中学三年生になると、「普通級」になり、自分が支援級にいることを隠すようになり、放課後等デイサービスに通っていることも他の生徒に知られないように、意識するようになりました。自分は、このことを、素晴らしいことだと思っていたのです。もちろん、支援級にいる子たちが悪いという事ではなく、自分が変わりたいと願い、変わっていったことが、素晴らしいと思えました。

 ある時、彼は言いました

「なあ、〇〇(自分を呼び捨てで話しけます)…俺ね、机を買ったんだよ」と言い出したのです。

「ほう、何のために…ま、まさか」とわざとふざけて返すと、

「勉強するんだよ」と言いました。

 その時は、僕は驚きませんでした。もう、彼が変わろうとしていることを知っていたからでした。そして、彼は続けます。

「俺ね。保育の関係の仕事がしたいんだよね。それで、放デイの先生になりたいんよ」

「最高だね。最高。完璧。やってやれ。なれる。絶対になれる。ただ、少しの努力は必要」とだけ僕は言いました。

 それから、彼は、彼なりに勉強をしました。もともとは、支援級クラスでしたから、学力はそれほどに無かったのです。宿題もそれほどにしなかったし、ゲームばっかりやっていたような子です。でも、そこから彼は、勉強しました。

 そして、受験。受験日の二日前に僕は自宅を訪問して、

「ま、頑張れ」と一言だけ伝えました。彼と腐れ縁の社長も、僕に御守を託して「渡してきて」と言ったので、それを手土産にもっていきました。彼とグータッチをして、「絶対、受かる…受かる…受かる」と念じてのグータッチでした。

 そして…今日。

 僕は、彼がうちの放デイに来ていたことも知らず、子供たちを10名連れて、公園に行っていました。子供たちを公園で遊ばせて帰ってくると、目の前には彼が立っていました。彼は、「〇〇(自分の名前を呼び捨て)!」と叫んで、僕に、ジャンプして抱き着いてきました。「受かったよ!」と伝えに来てくれたのです。僕は、「こんなに嬉しい日はないね。嬉しい。嬉しい。嬉しい」と言い「お前は、支援級クラスの子たちのお手本になった!希望の光ってやつだ」と伝えました。

 正直…

 数年前には、こんな展開になるとは思ってませんでした。本当に大変な子だったんです。周りを巻き込んで、先生にも沢山、迷惑をかけて。でも、「コア」な部分は、本当に良い子だった。そして、自分なりに色々考えて、今の形になった。僕は、凄いと思うのです。自分なりに、自分の嫌だと感じている部分に向き合って、それを克服してきた。とても、偉いと思うのです。きっと、いつかきっと、保育士にもなるでしょう。放デイの先生になり、沢山の子供たちを支えるでしょう。彼は、とても、偉い。

だから…

僕は…

そんな彼を、心から尊敬します。

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